擁護のテクニック

すぎやまこういち(笑) - 土曜の夜、牛と吼える。青瓢箪。

 もう何日も前の話だけど特に書くことがないのでこれをネタにする。上のProdigal_Sonさんのブログで知ったのだけど、すぎやまこういち氏がまたアホなことを言ったらしい。例の"THE FACTS"の時点でどういう人物かはわかっていたとはいえ、やっぱり残念だ。

 それはそうと、興味深いと思ったのは上の記事についたブックマークコメント。具体的にはこれ。

kurokuragawa [政治] [右翼] ウヨサヨはともかくメインの意見(若者よ投票に行け)は妥当なんだからそんなに嘲笑しなくてもいいんじゃないの

 これを読んだときは「ええーっ」と思った。ちょっと私には思いつかない発想だった。

 「反日メディアの掘った落とし穴に自らはまり込んだ結果の解散。メディアや世論に振り回され、ぶれてしまったことが麻生氏のミスだった」と理由を示し、落とし穴解散と名付けたのは作曲家のすぎやまこういち氏だ。

 すぎやま氏は「『民主に一度やらせてみよう』というのは極めて危険な考えで、たとえ短期間でも外国人参政権付与など外国による日本支配の第一歩となる取り返しのつかない法案が通りかねない。メディアに惑わされない若いネット世代こそ投票所に行ってほしい」と幅広い世代の投票行動を求めた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/280752/

 この記事にあるすぎやま氏の発言を読んで「若者よ投票に行け」がメインの意見だと受け取るのは、国語的にかなり無理があるような気がする。それは単に最後の部分を抜き出しているだけだし、「若者」というのも不適切だろう。ここで重要なのは「ネット世代」という属性であり、「若い」はその形容詞として使われているに過ぎないのだから。

 すぎやま氏の言いたいであろうことまで勘繰って箇条書きにするなら、だいたい以下のようになるはずだ。

  • 麻生氏が解散を強いられたのは反日メディアの陰謀によるものである。
  • 売国民主党には政権を取らせてはならない。
  • 外国人に参政権を与えると、やがて日本は乗っ取られてしまう。
  • ウェブ上で真実の情報を得られるネットユーザーは反日メディアに騙されない。
  • 若いネット世代こそ投票に行ってほしい(ネット世代以外にはあまり投票してほしくない)。

 以上の中から無茶苦茶な部分を隠蔽し、ごく一部分だけ抜き出して「若者よ投票に行け」と要約するのは、ほとんど詐欺スレスレの手法に思える。知らない人間がそれだけ伝えられれば、あたかもすぎやま氏がまともなことを言っていたかのように誤解するかもしれない。それでも決して嘘は言っていないというのが職人技だ。

 おそらく「若者よ投票に行け」はすぎやま氏擁護の意図で書いたのだろうし、これはすごい技術だなあ、と少し感動したのでエントリにした。見習うつもりはないけど。