久間知毅さん周辺の問題

 少し前に予告していた久間知毅さん(以下、久間さん)周辺の話。思いつくままダラダラ書いていたら異様に長くなってしまった。話があちこちに飛んでいて論旨もぐちゃぐちゃの悪文なので、よほど興味のある人以外は読まなくていいと思う。

 最初に書いておくと、私は久間さんのことを不誠実でいけすかない人間だと思っている。それはエントリの結論ではなく前提。決して人格攻撃するつもりはなく、正直な感想を述べているだけなのだけど、結果として人格攻撃になっている可能性は否定しない。まあ人格攻撃と指摘されても私は気にしないし、反省もしないだろう。

 あと久間さん以外にも何人かの名前(はてなID)が出てくるので、まとめてIDコールしておく。べつに反応は期待していない……というかスルーしてくれたほうがありがたいのだけど、陰口とか言われるのも不愉快なので義務的に。id:inumash id:hitouban id:Mukke id:yellowbell


 さて、この人については前々から危ういというかうさんくさい雰囲気は感じていたのだけど、それが決定的になったのは、昨年9月のことだった。9月のある日、toledさんという人が在特会のデモに対して「排外主義に反対です」という紙を掲げていたら連中からボコボコ殴られたという事件が起こった。それに対して久間さんが所感を述べ、その内容が一部で波紋を引き起こした……という流れだ。問題のコメントは訂正済みなのでオリジナルをリンチ上等と反日上等 - 地を這う難破船から引用する。

hisamatomoki 参加者のところの情報(mixi)だけど、叩いていた人の何人かは警察に引きずられていったようです/ ただ、自分から挑発しにいってるところがあるからな……。最悪なのは在特会だけど、被害者にも同情できないんだよ……

hisamatomoki これさ、韓国人少年を挑発して暴力を振るわれて英雄扱いされてる在特会の約一名と何が違うの? 在特会が最悪なのは当然としても、なんだかね

 これらの発言は当然のように(といえる社会で本当によかった)複数の人々から批判を浴びた。直接的にブログなどで批判エントリを書いた人は少なかったが、IDコールで突っ込みを入れる人はかなりの数いたように思う。しかし、久間さんはそれらの批判に真摯に向き合うことをしなかった。

inumash あー結局こうなっちゃったのか・・・。俺とかはノイズ扱いしてもいいがsk-44さんの真摯な批判は正面から受け止めるべきだと思うんだよなぁ・・・。 2009/09/29

はてなブックマーク - もうこれが最後 - hisamatomoki - はてなハイク

 これについてはinumashさんも同じ見解らしいので引用しておく。まあ、inumashさんがこれ以上に追及することは絶〜〜〜〜〜〜っ対にないだろうけど。下手をするとやっぱり撤回とか言い出したりして。

 批判が重複するのもどうかと思うので、ここではあえて細かい点を指摘する。久間さんはtoledさんに壮絶に失礼な発言を向けていながら、発言の撤回後にも謝罪した形跡がない。私は謝罪を強要するのは好きではないけど、ここは人間として謝っておくべきところだろう。

hisamatomoki 「何が違うの」は言い過ぎました。ただ、程度で雲泥の差がある(被害者側の落ち度がほとんどゼロ)というのは共通認識だと思ってたから省略したんですが、こちらの説明不足申し訳ないです 2009/09/28

はてなブックマーク - YouTube - 在特会のみんな、排外主義やめて毎日インドフェスやろう。

 謝罪が含まれているコメントはおそらくこれだけ。これをtoledさんへの謝罪と読むことは私にはできない。うっかり誤解させた不特定多数には悪いと思いながらも、誤解の余地なく失礼な言葉を向けた相手には悪いと思わなかったようだ。

 やがて久間さんははてなハイク「もうこれが最後」という錯乱気味の長文をアップしたのだけど、自己弁護と自己正当化に終始するばかりで、やはりtoledさんへの謝罪は一言もなかった。彼にとっては「うっかり他人を誹謗してしまった問題」ですらなく、「自分が不当に誤解されている問題」でしかなかったのだろう。

 結局、久間さんはそれまでに書いていた政治関連のエントリや動画などを削除して話をうやむやにするという手段に走った。私はそれを「俺は政治問題からの撤退宣言をしたんだから、もうこれ以上追及するな」という意思表示だと受け取った。実際、それ以上に突っ込む人はいなかったし、もしいたなら空気を読まない奴と扱われていたのは間違いないと思う。

 ちなみに削除時のコメントが以下のようなもの。

また、はてなアカウントも削除いたしました。

さながらその分野を勢力ゲームか何か勘違いしていると思しき方々、そして無謀な行為を煽る方々、そして現状にもう付いていく気がしないので。

自由帳で数学とか物理とか あるカテゴリのエントリおよび動画の削除について

 これが本人主張ではあるけど、普段から「愚かな奴ら」を気持ちよく批判してチヤホヤされていた彼が、ちょうど自分が批判されたタイミングで「愚かな奴ら」の行為が嫌になったというのは、あまりにご都合すぎるだろう。「世間」の目がどうとかとアウトソーシングを好む人だったけど、最後には自分の逃げる理由までアウトソーシングするというオチがついてしまった。

 しかし、それでも信じる人はいるらしい。

hitouban 皮肉のつもりなら「情報強者サマ」のが効くってばよ! /もちりんゲス合戦に嫌気がさしてはてなを離れた青少年ブロガーを覚えているので、色々慎みたい。 2010/04/11

はてなブックマーク - はてなブックマーク - 「情弱」という言葉 - 玄倉川の岸辺

 これはまったく別の場所で見かけたコメントなのだけど、久間さんのことを指していると判断していいだろう。あの顛末を見てこのように評する人がいるとは驚きだ。もしこういう人のほうが多数派だとしたらさらに驚くけど。しかし、この人のいう「ゲス合戦」の一方には「排外主義に反対です」という紙を掲げて立つことも含まれるのだろうか。

 とまあ、一部の人から惜しまれながら去って行った久間さんだけど、最近になってまた政治関連の発言をするようになっていた。私が気づいたのは4月に入ってからだけど、どうやら2月頃から復活していたらしい。

 その間、「言行不一致じゃねーの?」と指摘する人は誰もいなかったようだが、4月も後半になってようやく、Mukkeさんが(恐る恐るという感じで*1)指摘した。それに応えてか以下のような訂正が入った。

……もうネットでそういう分野に小言を言うこともないでしょう。(2010/4/24 あくまでこのブログでは個別案件の政治ネタに触れないということです。当初はそのつもりで書いたんですが、誤解うむ表現となっていることをMukkeさんより指摘いただいたので補足しておきます)

 私は「うわあ苦しい」としか思えなかった。当時の顛末を覚えている身としては、この「補足」はあまりに真実味に欠ける。ここは「やっぱり言いたいことがあるので前言撤回します」と書くべきところだろうに。しかし、なぜかMukkeさんはあっさりと納得したようだ。もしかして私の心が汚れていて信じる心が欠けているだけなのかと不安になってしまう。

 とりあえず私の心が汚れていないという前提で話を続けると、Mukkeさんのような態度が久間さんを人間としてダメな方向に誘導しているような気がする。相手がおかしいことをしているときにはっきりそれを指摘できないような友人関係が互いのためになるとは思えない*2

inumash 失策を失策として批判できないなら、今後同じ人間の言う「支持の声」は信用されない。なぜなら、それが合理的な判断に基づくものではなく、単なる「信仰の告白」に過ぎないことが皆に分かってしまうから。 2010/05/07

はてなブックマーク - はてなブックマーク - 口蹄疫「想像を絶するような規模」「非常事態宣言も」殺処分対象は3万4000頭に:ハムスター速報

 関係ない場所で見かけたinumashさんの発言だけど、ちょうどいいのでここで引用しておく。「信仰の告白」は「歪んだ党派性」でも通じるかもしれない。inumashさんは自分に向けない分にはいいことも言うので楽しい人ではある。

 もちろん、こういった言葉を向ける相手を選択することも見事な党派性だといえる。私はinumashさんや久間さんのように他人の党派性を批判する趣味はないのだけど、他人の党派性が気になってしかたない人が党派性に囚われている様子は実に面白いと思っている。

 と、話を戻す。Mukkeさんに限らず、久間さんに好意的な人々は、全体的にダメな甘やかし方をしていると感じる。たとえば以下のような人だ。

yellowbell 日本では、気安く宗教と政治の話を公の場でするなって話は本当だよなあと、ときどき思う。 2009/09/3

はてなブックマーク - 自由帳で数学とか物理とか あるカテゴリのエントリおよび動画の削除について

 このコメントは「気安く政治の話をして結果的に傷ついた久間さんは大変だね」的な意味合いだと理解していいだろう。この人はtoledさんが「排外主義に反対です」と書いた紙を持って集団から暴行を受けたことについては特に同情的な発言をしていなかった。紙を持っていたことでボコボコにされた人には同情を示さず、「在特会の約一名と何が違うの?」という暴言を批判され拗ねた人には同情を示す。単なるひねくれ者かもしれないが、私には理解しがたい感性だ。

 偏見ではあるけど、この人は久間さんが気持ちよく他人を批判しているときに「気安く宗教と政治の話を公の場でするなって話は本当だよなあ」と言うことは決してないと思う。心情的に共感できる相手が批判を浴びたときだけ、被害者面するのを補助する目的でそうつぶやくのであれば、うまい共犯関係が成立しているといえるかもしれない。

 同じ人だけど以下の発言もすごい。

yellowbell リンチは悪である。しかしリンチを受けた方は善なのだろうか。私は逆に、リンチを受けるそのことで、正義の殉教者になる空気を危惧する。これはおそらく、id:hisamatomokiさんの持った違和感と同根ではないかと思う。 2009/09/29

はてなブックマーク - リンチ上等と反日上等 - 地を這う難破船

 そういう「空気」が本当にあったかどうかも怪しいけど、ここでは気にしないことにする。この人はtoledさんが「殉教者」とされる空気を危惧しながら、気安く「同情できない」「在特会の約一名と何が違うの?」と言ってしまえる空気は危惧した様子がない。久間さんはそれなりに受け入れられる(少なくともあれほどの批判を浴びることはない)と思ってあのように書いたはずで、結果的にその判断が間違っていたとしても、彼にそう思わせた空気こそ憂慮するべきだと思う。たまたま一連の発言を取り上げて批判する人がいなければ、あまり問題視されることもなかった可能性さえあるのだし。


 いいかげん面倒くさくなってきたのでそろそろ結論。久間さんを好意的に評価する人たちに私が望むことは、しょうもない甘やかしをしないできっちり苦言を呈してやりなよ、ということ。あっさりと引き下がる腑抜けた批判では「俺はちゃんと批判してますよ〜」というアリバイ作りの儀式でしかない。もしかすると「苦言を呈して、敵認定とかされると恥ずかしいし……」というような心配があるのかもしれないが、そういう藤崎詩織は心の中から投げ捨てるべきだ。

 あるいは「久間さんはわざわざ苦言が必要なほど変な言動はしていないよ!」と力強く断言する人もいるかもしれない。私はそうは思わないので、党派性を批判したがる彼の党派性が見え見えになっている例、存在しない党派性を幻視して他人に突っかかっている例、ついでに彼の言説に現れる独特な傾向を具体的に挙げてもいいのだけど、かったるいので省略。気が向いたら書くかも。

 最後に、これを読んだ久間さんの反応を予想しておく。彼は十中八九「何言ってんだこいつ?」的な態度をとるだろう。あるいはinumashさんのように無視を決め込むかもしれない。気に食わない相手を「奴ら」に落とし込んで批判をシャットアウトするのが得意のようだし。おそらくはMukkeさんも久間さんに同調するのではないかと思う。この予想はかなり自信がある……というか、そういう相手だという偏見に基づいてこのエントリを書いたので、きちんとした返答があったらそちらのほうが驚く。

*1:このやり取りがあったコメント欄はさっき確認した時点ではエントリごと消えていたのでうろ覚え。

*2:友人というほどの仲ではない、と相互に主張されたら困るけど。